風俗店の利用は「不貞行為」になるの?
離婚のご相談をうけていると、「夫が風俗に通っていました。不貞行為になるので離婚できたり、慰謝料を請求できたりするのではないですか?」というご相談を受けることがあります。
今回は、これについて説明しようと思います。
1 不貞行為とは?
不貞行為とは、パートナー以外の人と性的関係を結ぶことです。
ですので、風俗サービスのうち性的関係を行うものであれば不貞行為にあたりうることになります。
一方で、性的関係を行うものでないのであれば不貞行為にはあたりません。
2 風俗の利用で離婚できるの?
それでは、性的関係を結ぶ風俗の利用を原因として裁判で離婚が出来るのでしょうか?
裁判所に離婚を認めてもらうには、民法が定めている次の離婚原因が必要になります。
① 不貞行為
② 悪意の遺棄
③ 3年以上の生死不明
④ 強度の精神病にかかり回復の見込みのもないとき
⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
今回のテーマでは、風俗店利用が①や⑤にあたるかということが問題になりますが、離婚事由になるほどの不貞行為は「婚姻関係が破綻」するほどのものである必要がありますので程度によることになります。
例えば、一度限りや短期のものであれば、離婚事由にあたらないとなる可能性が高いです。
一方で、例えば「風俗店の利用をたくさん行っている」「パートナーが辞めてほしいといってもかまわず通い続ける」「風俗店以外で性的関係をもつ」「直接連絡をとっている」等の事情があれば、離婚事由にあたる可能性が高くなっていきます。
3 慰謝料は請求できるの?
風俗通いを行うことで婚姻関係が破綻したようなケースの場合は、慰謝料も請求ができる事になります。
夫婦はお互いに貞操を守る義務を負っています。
ですので、上に書いたような「風俗店の利用をたくさん行っている」「パートナーが辞めてほしいといってもかまわず通い続ける」「風俗店以外で性的関係をもつ」「直接連絡をとっている」等の事情があり、それによって婚姻関係が破綻するような損害が発生する場合には、慰謝料を請求しうることになります。
以上、風俗店の利用で責任追及ができるかどうかをまとめてみました。
パートナーが風俗店を利用していたからといって、必ずしも離婚原因になったり慰謝料請求ができたりするわけではありません。
現実問題として、風俗の利用を元にした責任追及をする場合は立証を請求する人がしないといけませんので、証拠をどう集めるか、その他の責任追及の方法もあるかなどを考えないといけません。
これらのことでお悩みでしたら、専門家に相談をされた方がよいかなと思います。
当事務所は初回相談無料です。お気軽にご相談をいただければと思います。